イタリアに来るずいぶん前に、
「イタリアの若者はワインなんて飲まないで、ビールを飲むのが流行」
という記事を目にしたことがあり、
そのころ何となくワインの勉強がしたいなぁと思っていた私は
ワインなんてもう古いのかなー、とちょっと記憶に残った覚えがあります。
来てみたら逆にイタリアでは「ソムリエ」としてワインを勉強するのが少なからずブームで、
レストランの給仕としてのソムリエという肩書きより単にワインの銘柄の勉強や産地まわりとかがしたかった私も、
結局皆に「ソムリエ」のコースを受講することを勧められました。
とはいうものの一部のグルメブームを除けば、
一般的には夜中に若者は瓶ビールで仲間とおしゃべり、
老人たちはいつものバールでテーブルワイン、という構図はあります。
家ではいつも自家製のワインを小さい頃から飲んでいるイタリア人にとって
外でビールやカクテルを飲みはじめることが特別なんだろうなぁ。
私が働いていた前のレストランでも、
仕事が終わった後みんなで集まって飲みに行くもの、といえばビール!
その中でもよく行ってたのがトラステベレにある
「bir&fud」というお店。
ピッツェリアなのだけど、
ビールがイタリアの地ビールばかりを集めたというおもしろいお店で、
ワインリストならずビールリストが渡されます。
イタリアワインはどこでも手に入っても、
さすがにここまでの地ビールとなるとそうそうどこでも飲めるわけでもない。
入り口を入ったところにビールサーバーとカウンターがあり、
サーバーからの日替わりのグラスビールを頼んでも良いし、
カウンターの横にあるイタリアビールのボトルを見てるだけでも楽しい。

日替わりのグラスビールもありましたが、
今回はボトルの方をウェイターさんに選んでもらいました。
lotto番号や賞味期限が裏に手書きで書かれていて、
いかにもArtigianale(手作り)という感じ!
しかも樽醗酵の後、酵母と砂糖を添加し瓶内醗酵をしているらしく、
瓶をあけたときビールが飛び出しウェイターさんが
「大丈夫!いつものことだから」
といって急いでグラスに注いでいて、
私たちは最初「瓶振りすぎたの」と思ってたのですが
途中瓶の口からシュワシュワと泡が音をたてて出続け、味も、いかにも酵母!
パンをよく作る人はわかると思いますが、
あの、生イーストを手でつぶした時に漂ってくるまさにあの匂い。
きっとひと昔前はこういう濁った、すっきりしない、
偏った味のビールばかりだったのが、
ラガービールの「クリアーすっきり辛口!」が出て来て一世風靡したのでしょうが、
ラガー一辺倒の今、こういう洗練されてない味が逆に個性発揮してます。

あと、ここピッツァも結構おいしいのです。
生地が厚くてナポリ風かと思いきや中がもちもちしてなくて、
よくローマの切り売りピッツァにある「フォカッチャ生地」ベースのピッツァという感じ。
私はお腹空いてなかったので「ブルスケッタを少し・・・」と頼んだら
ピッツァよりボリュームあるかもというくらい出て来て、笑えました。

なんかここの店員さん、みんなチェ・ゲバラに憧れてる感じのロマーノばかりで、
さっきビールをこぼしていた人も後から女の子に
「あなたまたこぼしたの・・・」とあきれられたりしてる横で
「ねぇ、僕の選んだビールはどうだった♪」という感じで全然気づいてなかったり
いかにもイタリア男!丸出しで見てておもしろいです。
いつもまかせるとろくなものが出てこないと思うのに、
つい自信満々な罪のない感じにおされていうなりになってしまうのですよね。
そうそう、写真はないのですがデザートビールまであって、
味見してみたのですがほんとワインみたいでした。
説明があまり聞き取れなかったのですがロンバルディアのビールで
しっかり熟成させてありアルコール度13%(位だったと思う)の甘口ビール。
夏場の観光シーズンになると予約しないと入れないほどですが、
今くらいの時期なら普通に入れます。
お腹が空いていなければカウンターでグラスビールと
自家製ポテトチップス(おすすめです!!)だけでも満足!
bir&fud
Via Benedetta, 23
00153 Roma (トラステベレ地区です)
06 5894016
参加中です!